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剣 (つるぎ)

剣 (つるぎ)というのは槍の穂先のように両側に刃がある手持ちの長い武器ですが、片方のみに刃のある刀を含んで表現されることもあります。
荒城の月の歌詞で使われている剣は更に広い意味で刃物全体を指していると考えられます。

剣は「つるぎ」と読む場合と、「けん」と読む場合があります。荒城の月、歌詞2番で、「植うる剣」とされています。
この「植うる」の意味は解釈が二通りあり、林のようにたくさん植えられているようだとの解釈と、折れた刀が地面に突き刺さっていると言う解釈とがあります。
この解釈については、私は前者を支持しますがそれは別として、剣について説明します。

両側に刃がある場合を「諸刃」と言います。
片側にだけ刃がある場合、ハサミの刃のように一面だけが斜めとなり他の面は平面となっている場合と、両面とも斜めになっている場合があります。
この場合の表現として、前者を「片刃」、後者を「諸刃」という場合があります。

おなじ「諸刃」が2つに使い分けられます。
刀身の両側に刃がついていると言う意味の「諸刃」と、刀身の片方のみ刃がついているけれどもその刃は両面から研がれているという2通りです。

この頁では、「諸刃」というのは前者の刀身の両側に刃がついていると言う意味で使います。

日本刀の場合は諸刃ではなく片刃であり、手元には円形に近い鍔(つば)が付いています。
西洋の古い剣は手元の鍔は棒状になっています。十字架の上の部分が手で持つところ。横の部分が鍔。下の部分が刃に当たります。

剣は定義としてあるわけではありませんが、60cmより長い諸刃の直線状の刃を持つもので、両手で持つものとされています。
これより相当短く、片手で十分扱えるものは短剣とされます。

今日ではこのような剣はあまり使用されず、接近戦で使うために小銃の先端に取れつけられた銃剣が残っている程度です。

しかし、片刃の刀(かたな)を使う武術も剣術(けんじゅつ)と言われるように、剣(つるぎ)は武器の原点だったのです。
古来の諸刃の剣は色々の形に変化発展してきたものです。
それら発展のすべてを含めて「剣」と表現した荒城の月の「植うる剣」は素晴らしいと思われます。
土井晩翠の作詞の技量には改めて驚嘆させられます。