平家物語

平家物語は平家の栄華と没落を描いた物語です
   

平家物語

平家物語は平家の栄華と没落を描いた軍記物語です。

祇園精舎の鐘の声

平家物語は「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」の書き出しから始まる有名な物語です。
ところが作者も作られた時も正確には記録がないのです。
いろいろ調査された結果、鎌倉時代に作られたと思われるとのことです。

作者については以前から多くの説があります。
最古のものは鎌倉末期に成立した吉田兼好の『徒然草』で、信濃前司行長(しなののぜんじ ゆきなが)という人が平家物語の作者であるといわれます。
この方が生仏(しょうぶつ)という盲目の僧に教えて語り手にしたとする記述が残っています。
生仏が東国出身であったので、武士のことや戦の話は生仏自身が直接武士に尋ねて記録したとか、琵琶法師との関連まで述べていると言われています。

これほど立派な物語が作者や制作年代が確かでないというのは少し残念な気もします。

さて、ここでは平家物語の全容を述べるのではなく、「祇園精舎の鐘の声」について記してみたいと思います。

平家物語は平家の栄華と没落を描いたものですので、「祇園精舎の鐘の声」から始まるのですが、実は祇園精舎には最初鐘が無かったのです。
作者は京都当たりの鐘の音をヒントにして作成したのではないかと思われます。

祇園精舎は富豪な二人の人によって作られた建物で、ブッダに寄進された最初の立派な寺院でした。
ここに実際に鐘があったかどうか問題になる事ではありません。
ゴーンとなる鐘の音はやがて消えていくものであり、いくら勢力を誇っていてもやがては衰えていくものであるということを素晴らしい表現で語っているわけです。

「鐘の声」であって、「鐘の音」とは詠んでいない所も妙を得ています。
声というのは当然音も意味しますが人のうわさなどの意味を含み、深みがあります。

諸行というのはこの世の中の全てのことを意味します。
無常は変化することを示しています。「常」:ずっとこのままでいられることは、「無」:無いと言っています。

世の中は移り変わっていくものだと言っているわけです。
荒城の月の中で土井晩翠は「栄枯は移る」と表現しています。
荒城の月を作詞する時、土井晩翠は仏教の心「諸行無常」を思い浮かべ、平家物語の「祇園精舎の鐘の声」を思い浮かべていたのではないでしょうか。

そうして、土井晩翠は歌詞の中で、「変化していく」ということを強く伝えたかったものと解釈しています。

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