鐘の声

いつまでも栄華は続くことはないと言っています
   

祇園精舎の鐘の声

祇園精舎の鐘の声・・。平家物語の中の言葉です。いつまでも栄華は続くことはないと言っています。荒城の月の「栄枯は移る」です。

平家物語の中の言葉ですが、平家物語というのは、鎌倉時代に作られたもので、平家の栄華と没落を描いた軍記物語です。
平治の乱で勝利した後の平家の栄える様子と、源平の戦い後に平家が滅亡していく様子をまざまざと描いています。

ここで言っているのは例えて言えばと言う意味で、
  ゴーンとなる素晴らしい鐘の音もやがては消えていくように、栄えていたものはやがて枯れ果てていく
と言っているわけです。

このことから「荒城の月」では「栄枯は移る」と言っています。

祇園精舎というのは、ジェータ太子の寄贈した園林にスダッタという富豪が寄贈した仏教のための建物です。
「ジェータの森」 と「身寄りのない者に施しをするところ」と言う意味の言葉を合わせて漢訳されて「祇園精舎」と呼ばれています。
しかしここにどんな鐘があったのかは明確な資料がなく、平家物語を作るときにそのように想像して記したのでないかと私は思っています。

平家物語の著者は一級の文学者であり、相当調査や取材を行ったのではないでしょうか。
祇園精舎に最初のころに鐘は無かったというのが定説で、お寺に鐘が入るようになったのは中国に伝わって来てからだとも言われています。
ある方は、平家物語の祇園精舎の鐘の声とは京都にある六波羅蜜寺の鐘を聞いて、著者が思いついたのではないだろうかと言われています。

どんな鐘であったかは議論される必要はなく、鐘の音と言うものは消えていくものだと言う例を示そうとしているわけです。

ただ、鐘の「音」ではなく、「声」とされている所は少々気になります。

「声」について調べてみますと、
1 人や動物が発声器官を使って出す音。
2 「声が荒くなる」などの言葉のアクセント。
3 虫が出す音。「スズムシの声」
4 物が落ちたり振動して発する音。「鐘の声」「風の声」
5 神仏などが人に告げる言葉。「神の声」「天の声」
6 人々の考え・意見。「読者の声」
7 季節の、それとわかる感じ。けはい。「50の声を聞く」
など色々の意味がありますが、ここでは4の使い方をしているようです。

単に「音」言わなかったのは、5の意味も伝えたかったのかもしれません。

鐘の響きは、まるで天の声として何事も変わっていくことを示している、とでも言いたかったのではないでしょうか。

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