荒城の月 歌詞四番の意味解説

歌詞四番の意味を解説します
   
   

荒城の月 解説

土井晩翠の気持ちを推察しながら荒城の月の歌詞四番の意味を解説します。
この歌詞四番は、晩翠の本当に伝えたかった気持ちを表しています。
絵姿だけでなく、仏教としての言葉、「無常」を意味することを言おうとしているのです。

歌詞四番の意味解説


四番

天上影は変わらねど 栄枯(えいこ)は移る世の姿
映(うつ)さんとてか今も尚 ああ荒城の夜半の月

この四番こそが作詞者土井晩翠の真に言いたかったことだと私は解釈します。
「天上影」と言っています。これは「天」ではなく、天の上と言っています。
さらに天の光ではなく影です。天の上の影とされています。

仰ぎ見る天のさらに奥にある(・・上)目に見えない力(・・影)を意味しているものと私は解釈します。

これは釈迦の言う「仏」と同じです。
キリスト教では「神」と言われているのではないかと思います(勉強不足のため此の所は間違っているかもしれません)。
平たく言えば「天上影」とは「自然の力」と言うことでしょうか。

天上影は変わらねど=自然のなすことは今も昔も変わらないが、
栄枯は移る世の姿=栄えたり滅んだりするのがこの世の習いである
映さんとてか今も尚=そのことを鏡のように見せようとして今も輝き続けている
ああ荒城の夜半の月=荒れ果てた城を照らしている夜半の月よ

自然の力は変わらないけれども、人の世の栄枯は移り変わるものであるということを知らせようとでもしているがごとく、荒れ果てた城の上に今も月が輝いている。
ここで、「栄枯は移る」と言っています。これは仏教でいう「無常」と同じで、世の中に変わらないでいられるものは無いのだと言う意味です。
晩翠は、荒城の月の中で、このことを人々に伝えたかったのです。
仏教を信仰し、深い理解があったからこそこのように表現できたのです。
これが歌詞四番の意味であると私は思います。

三番で、月はだれのために輝き続けるのかとの疑問符を提示していましたが、この点について四番において、「栄枯は移るということを皆に知らしめようとして、今も月は輝いているのである」と答えているのだと私は解釈します。

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