日本にひろく分布するアカマツ、クロマツなどの針葉樹
   

松は、日本に分布するアカマツ、クロマツなどの針葉樹で、種類によって樹高は1m程度のものから、40ないし50 mに達するものももあります。

松は丈夫で長寿ですので、景観を良くするために用いられることが良くあります。
他の樹木が生えないような岩や砂だらけの荒地でもよく育ちます。
海岸地帯においても良く育ち、白い砂と青々としたマツの対比の美しさは白砂青松などと呼ばれます。
これは松島、天橋立、桂浜、虹ノ松原などが有名です。

松は大変長寿で2000年程度は生き続けると言われています。

松の主な種類

松には多くの種類がありますが、主なものを上げてみます。

アカマツ  樹皮が赤く、枝も優美で葉がやや細くしなやか、雌松(メマツ)とも呼ばれます。

クロマツ  樹皮が黒く、葉が太く長くて全体に力強さを感じさせるため、男松とも呼ばれます。

ダイオオショウ 北アメリカを原産とする木で長い葉が特徴です。

ゴヨウマツ 葉が五枚づつ出ます。成長が遅いため大木にはなりにくいです。

ハイマツ 地を這うように成長する松で、高さは2m程度。高山でよく見られます。

エゾマツ 北海道(蝦夷)に多い松ですが、枝ぶりは優しさがあります。

トドマツ 新緑の様子は花のように美しいいわれ、寒冷地を好みます。

カラマツ 落葉性の針葉樹です。

荒城の月の松

荒城の月に詠われている松はどの種類の松だったのでしょうか。

種類を限定できる証拠は示されていませんので推定するしか仕方ありません。

上述した種類の中から、適当ではないと思われるものを上げてみます。
カラマツは落葉性ですので城の庭には適しません。
ダイオオショウは北アメリカ産ですので当時使われたとは考えにくいです。
ハイマツ、ゴヨウマツは大木にはなりませんので盃に影が差す情景にはなりにくいです。
城が仙台城だとしますと、エゾマツ、トドマツは寒冷地好みですでぎりぎりの所であり、立派に育つかどうかわからないものを選定したとも思いにくいです。

そうしますと、やはりアカマツかクロマツではないかということになります。
優しい景観を出すためにはアカマツでしょうし、雄々しい姿を出すためにはクロマツということになります。

城の天守閣もそうですが、城は城主の威厳を世に示すためでもありました。
そうしますと優しさよりも雄々しさを示すクロマツだったのではないかと推定されるわけです。
日本の庭園には一般的にクロマツが使われており、特に何々松と言わなければ、松はクロマツを指す言葉になっています。

このようなわけで、土井晩翠が荒城の月で言っている「千代の松」はクロマツだったのではないかと私は解釈することにしています。

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