荒城の月歌詞 「高楼」

楼閣とも言い重層の建築物を意味します
   

高楼

荒城の月歌詞一番にある 「高楼」 とは楼閣とも言われますが、高い建物、重層の建築物のことを意味します。
日本における高楼建築の始まりは弥生時代の望楼(見張り台)に求められます。

重層建築は外観的形状としても重要ですが、眺望が利く高層部は天下を見下ろす意図も併せ持っていたわけです。

その例として現在もある京の金閣(1398年築・1955年再建)、銀閣(1489年築・現存)があります。

一方、16世紀後半になりますと、軍事的必要性および戦国大名の一円支配強化の点から、望楼を起源とする「天守」(天守閣)が現れ、城郭建築の象徴として作られるようになります。

荒城の月、歌詞一番における「高楼」は土井晩翠がこの天守閣を頭に描いて取り入れたのではないかと、私はその意味を解釈しています。
天守閣に入りきれないほどのたくさんの人が広場で大宴会を催している姿を現しているのではないでしょうか。
なぜなら、松の枝の影が盃に移っているのですから屋内ではないはずです。
きっと、殿様は天守からその様子を見ながらご機嫌だったことでしょう。

「高楼の花の宴」の意味するところは、大宴会そのものを意味するのではなく、大宴会を催せるような平和な栄華の状態を意味しているものと私は解釈しています。

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