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ツタ(蔦)荒城の月で垣に残っていたのは葛(かずら)か蔦(つた)かどちらでしょう |
垣に残るは カズラかツタか荒城の月では「垣に残るはただ葛(かずら)」と言っていますが、葛(かずら)であったか蔦(つた)であったか分かりません。葛(かずら)というのはクズともいわれ、根は澱粉質に富み、くず餅や葛根湯に使われます。これは地面を這うつる性の植物です。 蔦(つた)というのは伝わって行くという意味で言われているのですが、つる性であって根が石にでも木にでも食いついてどんどん昇って行きます。 土井晩翠は荒城の月で「かずら」と言っていますが、正しい植物名として「カズラ」を言う必要はありませんので、ツタとは言わず、カズラと言った可能性も否定できません。 木に巻き付いて昇って行くならばツタもカズラも可能性があります。 地面に這うならカズラの方が正しいかもしれませんが、石垣にへばりついているのならツタの方が正しいかもしれません。 しかし、荒れた城の石垣の状態を言いたかったのでしょうから、植物名にこだわる必要はなく、雰囲気を伝えることが出来ればよいわけです。 それと字数の問題が重要です。 「垣に残るはただツタ」ではどうも調子が出ません。 ツルクサでも具合悪いです。 そのためにカズラを持ってきたのではないかと私は考えます。 更に言うならば、土井晩翠が実際に石垣にその植物を見ていたかどうかも分かりません。 荒れ果てた城を表現するための言葉であるとも考えられます。 「垣に残るはただ葛(かずら)」はツタであっても、カズラであっても、あるいはただの雑草であったとしても、「ただ葛(かずら)」が一番良く雰囲気を表現できており、土井晩翠の作詞力に感心するばかりです。
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